このページでは、数学Aの「合同式」について解説します。
合同式の公式、計算方法を,具体的に問題を解きながらわかりやすく解説していきます。
問題集を解く際の参考にしてください!
1. 合同式(mod)とは
合同式とは、割り算の余りが等しいことを表現した式のことです。
例えば…
\(9\) を \(4\) で割った余りと \(5\) を \(4\) で割った余りは同じなので
\(
\bbox[#F4E2E2, 3pt, border:]{9 \equiv 5 \pmod 4}\\ \\
\)
\(28\) を \(5\) で割った余りと \(13\) を \(5\) で割った余りは同じなので
\(
\bbox[#F4E2E2, 3pt, border:]{28 \equiv 13 \pmod 5}\\
\)
となります。
\(
37 \equiv 22 \equiv 2 \pmod 5\\ \\
99 \equiv 49 \equiv 9 \equiv -1 \pmod 5\\
\)
のように横に続けて書くこともできますが、
\(
99 \equiv 49 \pmod 5\\
49 \equiv 9 \pmod 5\\
9 \equiv -1 \pmod 5\\
\)
のように、一行ずつ書く方が一般的です。
そのとき、\( \pmod 5\) は毎回書かなければいけません。
2. 合同式の足し算・引き算・掛け算
合同式は方程式と同じように、足したり引いたり掛けたりできます。
\(
\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b},\ \ \ \bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#FFF2CC, 2pt, border:]{d} \ \ のとき \ \ \pmod m\\ \\
\mathbf{和}\hspace{15pt }\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}+\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b}+\bbox[#FFF2CC, 2pt, border:]{d}\\ \\
\mathbf{差}\hspace{15pt }\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}-\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b}-\bbox[#FFF2CC, 2pt, border:]{d}\\ \\
\mathbf{積}\hspace{25pt }\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b}\bbox[#FFF2CC, 2pt, border:]{d}\\
\)
特に、\(\bbox[#FFF2CC, 2pt, border:]{d}=\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c}\) のときを考えると次の公式が成り立ちます。
\(
\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b},\ \ \ \bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \ \ のとき \ \ \pmod m\\ \\
\mathbf{和}\hspace{15pt }\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}+\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b}+\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c}\\ \\
\mathbf{差}\hspace{15pt }\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}-\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b}-\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c}\\ \\
\mathbf{積}\hspace{25pt }\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c} \equiv \bbox[#DEEBF7, 2pt, border:]{b}\bbox[#E2F0D9, 2pt, border:]{c}\\
\)
例えば…
\(
\hspace{ 15pt }31 \equiv 23 \pmod 4\\ \\
\bbox[#D9D9D9, 2pt, border:]{両辺に\ -23\ すると}\\ \\
\hspace{ 15pt }8 \equiv 0 \pmod 4\\
\)
このように両辺から同じ数を引くことができます。
例えば…
\(
\hspace{ 15pt }12 \equiv -3 \pmod 5\\ \\
\bbox[#D9D9D9, 2pt, border:]{両辺に\ ×5\ すると}\\ \\
\hspace{ 15pt }60 \equiv -15 \pmod 5\\
\)
このように両辺に同じ数をかけることができます。
3. 合同式の割り算
合同式は、わり算だけ特殊なので気をつけなければいけません。
\(
a\ と\ m\ が互いに素のとき\ \pmod m\\ \\
\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}x \equiv \bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{a}y\ \ \ \ \Longleftrightarrow\ \ \ \ x \equiv y \\
\)
例えば…
\(
\hspace{ 15pt }15 \equiv 45 \pmod {10}\\ \\
\bbox[#D9D9D9, 2pt, border:]{両辺に\ ÷5\ すると}\\ \\
\hspace{ 15pt }3 \equiv 9 \pmod {10}\\
\)
このように両辺を \( 5 \) で割ってはいけません。
\(5\) と \(10\) が互いに素ではない(最大公約数が \(5\) )ので割ることはできません。
例えば…
\(
\hspace{ 15pt }15 \equiv 45 \pmod {10}\\ \\
\bbox[#D9D9D9, 2pt, border:]{両辺に\ ÷3\ すると}\\ \\
\hspace{ 15pt }5 \equiv 15 \pmod {10}\\
\)
\(3\) と \(10\) が互いに素(最大公約数が \(1\) )なので割ることができます。
4. 合同式の累乗
\(
a \equiv b\ \ のとき \ \ \pmod m\\ \\
\mathbf{累乗}\hspace{15pt }a^{\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{n}}\equiv b^{\bbox[#F4E2E2, 2pt, border:]{n}}\\
\)
例えば…
\(
\hspace{ 15pt }5 \equiv 13 \pmod {4}\\ \\
\bbox[#D9D9D9, 2pt, border:]{両辺を\ 10\ 乗すると}\\ \\
\hspace{ 15pt }5^{10} \equiv 13^{10} \pmod {4}\\
\)
このように、両辺を累乗することができます。
この公式を使って余りの問題を解いてみます。
\(15\ の\ 50\ 乗を \ 7\ で割った余りを求めよ。\)
\(
\hspace{ 15pt }15 \equiv 1 \pmod {7}\\ \\
\bbox[#D9D9D9, 2pt, border:]{両辺を\ 50\ 乗すると}\\ \\
\hspace{ 15pt }15^{50} \equiv 1^{50} \pmod {7}\\ \\
\hspace{ 15pt }15^{50} \equiv 1 \pmod {7}\\ \\
よって\\ \\
\hspace{ 20pt }\color{#ef5350}{余り 1}
\)
5. 合同式の問題
5.1 合同式の計算
\(
次の合同式を解け。\\ \\
(1) x+4 \equiv 2 \pmod {6}\\ \\
(2) 3x \equiv 4 \pmod {5}\\
\)
\(
\hspace{ 15pt }x+4 \equiv 2 \pmod {6}\\ \\
両辺に\ -4\ すると\\ \\
\hspace{ 15pt }x \equiv -2 \pmod {6}\\ \\
よって\\ \\
\hspace{ 20pt }\color{#ef5350}{x \equiv 4 \pmod {6}}
\)
\(
\hspace{ 15pt }3x \equiv 4 \pmod {5}\\ \\
両辺に\ ×2\ すると\\ \\
\hspace{ 15pt }6x \equiv 8 \pmod {5}\\ \\
よって\\ \\
\hspace{ 20pt }\color{#ef5350}{x \equiv 3 \pmod {5}}
\)
5.2 合同式と余り
\( 合同式を利用して、次のものを求めよ。\\ \\
(1)\ \ \ 13^{100}\ を \ 9\ で割った余り\\ \\
(2)\ \ \ 2000^{2000}\ を\ 12\ で割った余り\\ \\
(3)\ \ \ 47^{2011}\ の一の位の数\\
\)
6. 合同式の問題一覧
合同式の問題は、以下のページでまとめているのでチェックしてみてください。
7. まとめ
以上が、合同式の公式と問題一覧です。
合同式の問題では
① 余りが1になる累乗
② 余りの周期
この2つを探すことが重要です。
合同式は苦手な人が多い分野なので、公式と解法をしっかり覚えて周りと差をつけよう。